試用期間本採用拒否基準の設定について

先日は職員雇用時の試用期間設定についての様々な形を説明致しました。

今回は、その試用期間で職員を判断する際の、本採用拒否基準と解雇基準の具体的な規定例を用いて、基準の差を確認して頂けるように致します。

本採用拒否基準は解雇基準に比べて、クリニック側に裁量を大きくする設定が可能になります。就業規則に記載する事例としては、以下の内容になります。

(本採用拒否)

第〇条 試用期間中の職員が次の各号のいずれかに該当し、職員として不適格であると認めるときは、当院は、採用を取り消し、本採用を行わない。

(1) 遅刻・早退及び欠勤が多い、又は休みがちである等、出勤状況が悪いとき。

(2) 所属長の指示に従わない、同僚との協調性がない、仕事に対する意欲が欠如している、又は勤務態度が悪いとき。

(3) 必要な教育は施したが当院が求める能力に足りず、かつ、改善の見込みも薄い等、能力が不足すると認められるとき。

(4) 暴力団員や暴力団関係者と関わりがあることが判明したとき。

(5) 採用選考時又は採用決定時の提出書類に偽りの記載をし、又は面接時において事実と異なる経歴等を告知していたことが判明し、当院との信頼関係を維持することが困難になったとき。

(6) 必要書類を提出しないとき。

(7) 健康状態(精神の状態を含む。)が悪いとき。

(8) 当院の職員としてふさわしくないと認められるとき。

(9) 第〇条の服務規律その他この規則の規定に従わない又は違反したとき。

(10) その他前各号に準ずる事由又は第〇条の解雇事由に該当するとき。

 

上記の、『本採用拒否』基準と比較して、本採用後の解雇基準を規定すると、以下のような内容になります。

(解 雇)

第〇条 職員が次の各号のいずれかに該当する場合は解雇とする。

(1) 精神又は身体に故障があるか、又は虚弱、傷病、その他の理由により職務に堪えられない、又は労務提供が不完全であると認められるとき。

(2) 協調性がなく、注意及び指導をしても改善の見込みがないと認められるとき。

(3) 職務の遂行に必要な能力を欠き、かつ、他の職務に転換させることができないとき。

(4) 勤務意欲が低く、これに伴い、勤務成績、勤務態度その他の業務能率全般が不良で業務に適さないと認められるとき。

(5) 正当な理由のない遅刻及び早退、並びに欠勤及び直前の休暇請求が多く、労務提供が不完全であると認められるとき。

(6) 特定の地位、職種又は一定の能力を条件として雇い入れられた者で、その能力又は適格性が欠けると認められるとき。

(7) 事業の縮小その他当院にやむを得ない事由がある場合で、かつ、他の職務に転換させることができないとき。

(8) 重大な懲戒事由に該当するとき。

(9) 前号に該当しない懲戒事由に該当する場合であって、改悛の情が認められなかったり、繰り返したりして、改善の見込みがないと認められるとき。

(10) 非違行為が繰り返し行われたとき。

(11) 当院の職員としての適格性がないと判断されるとき。

(12) 天災事変その他やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となり、雇用を維持することができなくなったとき。

(13) その他前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき。

比較して確認して頂けると、『本採用拒否』と『解雇』の基準には大きな差が有ることが、分かりやすいかと思います。

このように、就業規則に『本採用拒否』基準を明示しておくことで、職員の試用期間の判断での基準や労務トラブルの予防に繋げられます。

労務管理は、規則・制度によるトラブル発生の『予防』により、クリニックの安定的な運営に繋がるものと考えております。

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