クリニック経営において、有期雇用契約のパート職員の雇用は、円滑な運営において欠かせない戦力として位置付けられている先生も多くいらっしゃいます。
その有期雇用契約の職員を何らかの理由で、期間満了により『雇止め』(退職)してもらう状況が出来た場合に、期間が満了しているからという理由で、トラブルなく雇用契約を終えることが難しく、前回は雇用契約時の「明示事項」について説明致しました。
今回は、雇止めを行う場合の、『雇止め予告』・『雇止めの理由の明示』について確認していきます。
※雇止めの予告
有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨、明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。
○ 対象となる有期労働契約
(1) 有期労働契約が3回以上更新されている場合
(2) 1 年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、最初に労働契約を 締結してから継続して通算 1 年を超える場合
(3) 1 年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
※雇止めの理由の明示
使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。
また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。
○ 明示すべき『雇止めの理由』
明示すべき『雇止めの理由』は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。
例えば下記の例を参考にしてください。
・ 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
・ 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
・ 担当していた業務が終了・中止したため
・ 事業縮小のため
・ 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
・ 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため
等
有期雇用契約と言えども、法令により様々な制約が有ることを確認して頂きながら、円滑な労務管理を行って頂ければと考えております。