就業規則のご相談を受けていますと、様々なご相談をうけます。
そういったご相談の中から、一つご紹介をしたいと思います。
質問「有給休暇は、従業員が勤務1年半になると、常勤だと新たに『11日』付与されるが、前年付与した『10日』のうち、消化せず繰り越された分と新たに付与された分のどちらから使うことになりますか?新たに付与された分から消化もできますか?」
考え方
8/19にアップしました、モデル就業規則_有給休暇パートでの記載事例は、以下の通りです。
「9 付与日から1年以内に取得しなかった年次有給休暇は、付与日から2年以内に限り繰り越して取得することができる。
10 前項について、繰り越された年次有給休暇とその後付与された年次有給休暇のいずれも取得できる場合には、繰り越された年次有給休暇から取得させる。」
このケースでは、『繰り越された年次有給休暇から取得』としています。
労基法では、有給休暇の消化順については定められていないため、就業規則に記載した順に消化していくことになります。
では、上記の例を新しく付与された分から消化というのは可能でしょうか?
「10 前項について、繰り越された年次有給休暇とその後付与された年次有給休暇のいずれも取得できる場合には、当年度に付与された(新しく付与された)年次有給休暇から取得させる。」
(事例のときにかっこ書きで記載していましたね)
新しく付与された分から消化させることは、就業規則に定めると可能となります。
しかし、一般的に従業員が考えている消化の順は、「繰り越された分」からと思っていて、繰り越しを少し残しながらも有給消化していきたいと計画しているのではと思います。
「新しく付与された分」からだと、仮に繰越が有った場合には、その分を消化するためには新しく付与された分を全て消化しきってから、繰り越された分の消化となります。
有給休暇は従業員の権利とはいえ、職場環境によっては、自由に使いにくい環境であったりすることが多く、消滅する有給休暇が増えることが有ります。
もしくは、有給休暇を消化するために、消滅前に無理やり、有給取得ということで休みが増えて業務に悪影響が出たりすることも有ります。
権利が消滅する量が大きくなったり、権利の使用が制限されると感じると、それだけ不満が出てきて、そういった積み重ねで労使トラブルに発展することもあるのではと考えます。
もちろん、『有給休暇は付与された年度で使い切る』、という方針でそのように設定することは、一つの方針としても良いと考えます。
職場のルールとして定めることの出来ることは、幅が広くありますが、会社の発展・成長または存続に向けて、労使が良いバランスで働ける環境整備というのが、今後、ますます求められているのかと思います。
今日は、申し訳ございません。データのアップは有りません。
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