クリニック労務管理:働き方改革を踏まえた有給休暇対応

 クリニックの労務管理において、有給休暇にまつわるトラブルは非常に多く発生しています。
有給休暇は、職員の権利として有ることを理解してもらいつつ、クリニックの運営に問題なく消化してもらう方法も知っておいてもらえれば、双方にとって良い関係づくりにもつながります。

 働き方改革法案により、「有給休暇が10日以上付与される職員には、付与日から『1年以内に5日』は使わせないといけない」という 有給休暇のルールが始まりました。

 クリニックでは人数の問題も有り、有給休暇の取得が難しい場合もあり、取得が進んでいないケースも有りますが、今回は法律で定められたもので、『5日取得』を確実に実施できる対策について、説明していきます。

対策1:有給休暇の計画付与(一斉付与)による取得

  クリニックの夏季・年末年始休暇などの、長期休暇の一部や、先生の学会参加による休診日については、有給休暇の取得により休暇とすることができます。

  『計画付与制度』は、就業規則への制度導入の追記と、労使協定(労基署への届出は不要)の締結により、行うことができます。また、計画付与で使用できる有給休暇の日数は、「職員が自分の申請で使える日数を最低5日は残す」必要が有ります。

  労使協定で締結すべき内容は、①計画的付与の対象者、②対象となる年次有給休暇の日数、③計画的付与の具体的な方法、④年次有給休暇の付与日数が少ない者の扱い等が定められており、適切な運用を求められております。

 対策2:クリニックからの有給休暇の『時季指定』による取得

  診療科により、繁忙期・閑散期が異なってくると思いますが、閑散期に人員のやり繰りをうまく行うことで、シフト組みの中で、クリニックと職員が相談して、『時季指定』という形で、有給休暇の取得をしていく方法が有ります。

 クリニックの繁忙期に、『5日取得』の期限が近づき、慌てて職員から有給の請求をされると、クリニックの運営に影響が出てきますので、長期休暇・閑散期等での計画的な取得により、職員満足を高め、クリニックの労務管理が円滑に進むようにして頂ければと思います。

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