着替えや移動時間などの業務以外の時間の扱いについて

職員さんから多くある質問の一つに、着替えの時間は労働時間に含まれるのかということが有ります。業務以外の時間の考え方を整理して、就業規則などに盛り込んでおくと労務トラブルの予防につながります。

 

(1)着替えなどの時間

着替えの時間は、例えば、防護服・保護具などの、着用が義務的でしかもそれ自体入念な作業を要する場合を除いては業務従事の準備にすぎないといえよう。と考えらえています。

過去の判例でも別の解釈が出来るものが有りますが、一般的な事務服や制服といわれるものへの着替えの時間は、着替えが作業開始に不可欠であるとしても、それ自体は労働の提供ではないし、使用者の直接の支配下にあるわけではないので、労働時間に含めるか否かは職場の慣行に従うのが妥当とされています。

上記のことから、「就業規則」にタイムカード打刻のルールを定め、その運用が適切に行われていることが重要になってきます。

就業規則への規定例は、

(出退勤の記録)

第〇条 1.職員は、出退勤に際しタイムカードに出退勤の記録をしなければならない。

2.前項の記録は、特に認める場合のほか、他人に依頼したり、または依頼に応じたりしてはならない。

3.第1項の記録は、業務の開始出来る状態で出勤の記録をし、業務が完了次第、速やかに退勤の記録を行うこととする。

 

(2)移動時間についての労働時間の考え方

在宅・訪問診療にかかわる移動時間などについても確認しておきたいと思います。

 

  •  特定の患者宅への直行直帰の時間

労働時間とは、『使用者(事業所)の支配下にある時間』かどうかで判断します。直行や直帰の際も、支配下にある時間かどうかで判断することになります。

直行及び直帰は、言い替えると「通常と異なる勤務場所と住居の往復」ということになります。直行や直帰に際し、住居を出発して寄り道しながら直行しても、利用者との約束時間に到着すれば良いし、利用者との面談終了後の直帰もそのまま帰らずに遊びに行っても良いわけです。即ち、直行のときは訪問先に到着する前の時間、直帰のときは訪問先で業務が終了した時間の後の時間は、通勤時間であり、労働時間に該当しないことになります。

ここで出てきた通勤時間とは、本人の住居と勤務場所の往復の時間をいい、通勤途中の本人の行為に対して干渉することはできません。従って、事業所の支配下にないので、労働時間にならないわけです。

 

  •  病院・クリニックから特定の現場・客先への移動時間

上記①とは異なり、病院・クリニックに出社後、必要に応じて行う移動時間については、「使用者(事業所)の支配下にある時間」と判断され、労働時間となります。

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