Q:ハラスメントの問題が多く有る中で、クリニックとしてはどういった対策をとる必要があるのか?

A:ハラスメントを起こさず、そういった労務トラブルを回避するためには、各クリニックとして対策が必要となります。

ハラスメントに対して事業主が講ずべき対策は以下の通りとなります。

①ハラスメントの内容・ハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、周知・啓発すること
②行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に規定し、周知・啓発すること
相談窓口をあらかじめ定めること
④窓口担当者は、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること
⑤相談の申出があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認すること
⑥事実確認ができた場合は、行為者及び被害者に対する措置をそれぞれ適切に行うこと
再発防止に向けた措置を講ずること
⑧相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること
⑨相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益取り扱いを行ってはならない旨を定め、周知すること

上記の中においても、特に、「②行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に規定し、周知・啓発すること」については、就業規則の服務規律に「ハラスメント禁止」の規定及び、懲戒規定に、ハラスメントが起こった場合の規定を加えることが重要となります。

(就業規則例)

第〇条(セクシュアルハラスメント等の禁止)

職員は、他の職員の権利及び尊厳を尊重し、セクシュアルハラスメント(性的な言動により他の職員の働く環境を悪化させ能力の発揮を妨げる等の行為により、他の職員の職業生活を阻害すること。)、パワーハラスメント(いわゆる職場におけるいじめ行為や、言葉や態度等によって行われる精神的な暴力により他の職員の働く環境を悪化させる等の行為により、他の職員の職業生活を阻害すること。)及びこれらに該当すると疑われるような行為を行ってはならない。また、セクシュアルハラスメント又はパワーハラスメントに対する職員の対応により当該職員の労働条件につき不利益を与えることも行ってはならない。

2 職員は、セクシュアルハラスメント若しくはパワーハラスメントにより被害を受けた場合、又は被害を受けるおそれのある場合は、第〇条(相談窓口)の相談窓口に対して相談及び苦情を申し立てることができる。これらの申立てを受けた場合は、法人は、速やかにその旨の報告、事実関係の調査に着手するとともに、申立人が申立後もセクシュアルハラスメント又はパワーハラスメントによる被害を受けないように対処するものとする。また、対処する過程において、クリニックは、申し立てた職員のプライバシー等を配慮し、本人の不利益にならないよう細心の注意を払うものとする。

第〇条(懲戒の事由)

従業員が、次の各号のいずれかに該当するときは、懲戒処分を行う。

(〇) 暴力、暴言その他の素行の不良で、著しく会社内の秩序又は風紀を乱したとき(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントによるものを含む。)。

 

※懲戒処分の程度(目安)

・強制わいせつ、上司等の影響力利用による性的関係・わいせつな行為:免職または停職

・相手の意に反することを認識の上での性的な言動の繰り返し:停職または降職・減給

・上記の行為により執拗な繰り返しにより強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患:免職または停職

・相手の意に反することを認識の上での性的な言動:減給またはけん責

 

上記で説明しました通り、研修や就業規則での対策が重要ではありますが、日頃からの行動の振り返りがハラスメント予防としては求められてきます。

事前予防の対策としましては、パンフレットの配布やポスターの掲示などによる意識づけ、職員教育としてセクハラ・パワハラ研修会の定期開催、アンケート調査などによるハラスメントの実態の把握などを通じて、職場としてハラスメントの意識付けを行っておくことで、ハラスメントによる労務トラブルのリスクを軽減していきます。

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