クリニック経営には職員の雇用は欠かせないものであり、雇用には様々な労務トラブルリスクが有ります。
例えば、最近ご相談頂いた中にも、以下のようなトラブルが起こっております。
・有給休暇の取得について、クリニックの運営に支障がきたす要求が有った!
・必要なスキルを有する経験者ということで雇ったら、そのスキルを持っておらず、辞めてもらいたい!
・精神疾患にかかって休職している職員の対応が分からない!
・残業代未払い請求が有り、対応に困っている!
上記のようなトラブルを出来るだけ防止できるようにしておくためには、入職時の書面での取付書類を準備しておくことも、一つの対策となります。
入職時の取付書類は以下のものになります。
① 労働条件通知書(雇用契約書)
② 誓約書
③ 身元保証書
④ 秘密保持誓約書(入職時)
特に、① 労働条件通知書(雇用契約書)は、最も重要なものと言える。
上記で説明した、「必要なスキルを持ってなくて辞めてもらいたい!」というものも、労働条件通知書(雇用契約書)の明示事項の中の、『労働契約の期間』において、試用期間を『期間の定めの有る契約』にて、3ヶ月間の有期契約で行っておくことで、試用期間中にスキル・能力・適性などについての確認を行い、その後に正職員として転換するか、期間満了により契約を打ち切るかの判断が出来ることになります。
※労働基準法に定められた労働条件の明示事項は以下の内容となります。
Ⅰ.書面による明示事項
(1)労働契約の期間
(2)就業の場所、従事する業務の内容
(3)始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、
交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
(4)賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
Ⅱ.口頭でもよい事項
(1)昇給に関する事項 ※
(2)退職金の定めが適用される職員の範囲、退職金の決定、計算・支払いの方法、
支払いの時期に関する事項 ※
(3)臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項 ※
(4)職員に負担される食費、作業用品その他に関する事項
(5)安全・衛生に関する事項
(6)職業訓練に関する事項
(7)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
(8)表彰、制裁に関する事項
(9)休職に関する事項
※パートタイマー(短時間職員)については、パートタイム労働法により、昇給・退職金・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。
入職時に書面で取り交わしをしておくことで、職員からも「このクリニックはしっかりとしてくれる」という信頼関係の構築のスタートがきれたり、適度な緊張感を持った良い関係づくりが出来るきっかけとしても有効なものになります。