働き方改革:長時間労働の是正

1 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全衛生法)

(1)長時間労働の是正

① 時間外労働の上限規制の導入 ・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未 満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。

※行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し新労基法第36条第9項の助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態等を踏まえて行うよう配慮するものとする。(経過措置)

<参照条文:改正後の労働基準法第36条>

7 厚生労働大臣は、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするため、第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができる。

9 行政官庁は、第七項の指針に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 

② 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。(平成35年4月1日施行)

③ 一定日数の年次有給休暇の確実な取得

・使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこと

④ 労働時間の状況の把握の実効性確保

・労働時間の状況を省令で定める方法(※)により把握しなければならないこととする。(労働安全衛生法の改正) ※省令で使用者の現認や客観的な方法による把握を原則とすることを定める

(2)多様で柔軟な働き方の実現

① フレックスタイム制の見直し
•フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長する。

② 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
•職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、年間104日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。

(平成27年法案 からの修正点)

・健康確保措置として、年間104日の休日確保措置を義務化。加えて、①インターバル措置、②1月又は3月の在社時間等の上限措置、③2週間連続の休日確保措置、④臨時の健康診断のいずれかの措置の実施を義務化(選択的措置)。

•また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。(※労働安全衛生法の改正)

2 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)

○ 勤務間インターバル制度の普及促進 事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。

○ 企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進 企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組を促進するため、企業全体を通じて一の労働時間等設定改善企業委員会 の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係る労使協定に代えることができることとする。

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