職員退職時の注意点について

労務トラブルが表面化する最も多い時期が、職員退職時になります。在職中は特に問題を起こすことなく勤務してくれていた職員が、急に人が変わったかのようになることも有ります。『退職』はクリニックを出て、別の環境で働くことを決めているので、その主張も厳しく、譲歩もしてくれないことが多くあります。

 

そういった職員の退職時に気を付けるポイントについて押さえていきたいと思います。

 

(1)退職届

自己都合退職の場合は、退職『届』を必ず提出させる。

理由は、『一身上の都合』ということで、自らの意思で退職したことを書面で受領する。

退職『願』と退職『届』の違いについても、退職時手続の手順が分かりやすいかと思います。

・退職届までの基本的な流れ

退職『願』(口頭でもよい) ⇒ 退職日の合意 ⇒ 退職届

 

退職『願』は、労働契約の解約を願い出るものです。クリニックに退職を申し込み、承諾がなされてから初めて退職となるため、提出した時点では退職となりません。クリニックが承諾するまでは撤回することができます。

新しい方の採用や引継の予定も有るため、退職『願』が出てから、退職日の合意を行い、退職『届』により、退職が確定します。

 

(2)急な退職届が出てきた場合はどうすれば良いか

 

この退職の手続きでのトラブルは、職員が事前の相談も無く、退職『届』を出してきて、退職日も一方的に指定してくる場合が多く有ります。

雇用契約時や就業規則では、「退職時には『2か月前』に申し出る」等の規定が有ることが多いですが、その規定を無視し、「2週間後に退職します。その期間は有休を使用します」ということが有ります。この場合は、労働契約の解除の規定は、民法では「14日前」との定めがあり、これを知っている職員が使ってきます。

 

心情的には、雇用契約書や就業規則の定めを守っていないため、何らかの処分を科したいところですが、法律で認められた権利であり、それを受け入れざるを得ません。

 

上記のような退職の仕方にならないように、日頃からのコミュニケーションにより、意思疎通を図っておくことが、退職しようとしている本人からの情報だけでなく、周りの職員からの情報収集という点においても、重要な要素になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA