時間外労働の算定方法について

Q:時間外労働をさせた場合に、次の日に労働時間を短くするなどを調整して、週40時間を超えないように調整しているが、従業員から『8時間を超えた日の時間外は、割増賃金を払ってください』という指摘が来ています。どのように対応すればいいでしょうか。

A:

原則的な時間外労働の算定方法について以下にて説明していきます。

(1)時間外労働の算定は「日」⇒「週」の順で行う

1日単位の規制は、週単位の規制より小さな単位における規制であり、この順序を逆にすることは出来ません。(変形労働時間制の場合は、「日」⇒「週」⇒「変形期間」)

逆にした場合には、実際には時間外労働を行っているのに、時間数にカウントされないことが起きます。例えば、週休2日制1日8時間労働のクリニックで、水曜日に10時間勤務し、翌日木曜日に6時間勤務で早退した場合に、週40時間の法定労働時間内となりますが、水曜日には時間外労働をしたという事実は残ります。

上記の通り、時間外労働のカウントは、まず1日について判断し、いったん時間外労働として確定した時間については、1週間について判断するときに時間外労働とならない場合であっても、時間外労働が生じた事実を消すことはできません

(2)日々の時間外労働に「代休」を与えて相殺することは出来ない

例えば、時間外労働が、月曜日3時間、火曜日2時間、水曜日3時間 計8時間を金曜日に代休を取って、8時間の時間外を相殺させるという方法は、出来ません。

通達として「休日労働をさせた後に代休を与えたとしても休日労働の事実が残り、割増賃金の支払義務が残る。(昭63.3.14基発150号)」の内容を踏まえ、時間外労働に対して代休を与える場合も同じと考えられます。

(3)時間外労働は実労働時間で算定する

例えば、4時間遅刻し、午後から4時間の通常勤務と終業時間を超えて2時間の勤務が有った場合、この就業時間を超えた2時間は、実労働時間から考えると「時間外労働ではない」ということになります。

この事例の場合は、給与の支払方としては、4時間の欠勤控除+2時間の通常賃金(割増しない基礎単価を基準)を行います。結果としては、2時間の欠勤控除と同じということになります。(ただし、法人のルールで『所定労働時間を超えた部分は割増賃金(1.25)を支払う』という取り決めをしている場合は、そのルールに基づき計算をしてください)

(4)「日々の時間外労働」と「週の時間外労働」はダブルカウントしない

事例として、月曜日~木曜日まで8時間、金曜日に9時間労働した場合の割増賃金の考え方について確認します。

金曜日の8時間を超えた時間は、『1日単位の時間外』と『週40時間越えの時間外』の両方が適用されるのか?という疑問も出てくると思いますが、この場合の対応は、「金曜日の1時間の時間外労働については、1日8時間を超える時間外労働であり、割増賃金を計算するうえで、1時間に対し0.25の割増賃金率が適用される。」となります。

これは、一旦その対象となる時間に割増賃金を払った場合は、2重に割増賃金の対象としないという考えにあり、重複して支払う必要はありません

変形労働時間制を採用している場合、時間外労働についての通達では、『時間外労働は日、週、変形期間の順で確定していき、週の時間外労働を判断するときは、日の時間外労働として確定された時間は除外する』(つまり、重複して支払う必要は無し)ことが明記されています。

(5)休日労働の考え方

一般的に、クリニックの休日に労働させた場合、広く休日労働(休日出勤)と呼んでいますが、労基法上の休日労働とは、36協定に基づき、週1回又は4週4日の『法定休日』に労働させた場合をいいます。

つまり、休日には2種類あり、休日割増賃金(35%増)の『法定休日』と、時間外割増賃金(25%増)の『法定外休日』があります。

この『法定休日』がどの日になるかが問題ですが、通達では、「労働条件を明示する観点から、就業規則等により休日割増賃金の対象となる休日を明確にすることがのぞましいものとしていますが、これを義務とするものではありません(平11.3.31基発168号、平21.5.29基発0529001号)」とあります。

例えば、週休2日制(月曜日起算)のもとで、いずれか一方の休日(例えば日曜日)に労働がなされても、残る1日(例えば土曜日)が休日として確保されるならば、前者の休日における労働は労働基準法上の休日労働にならず、休日割増賃金の問題は生じません。

上記の事例で、土曜日も出勤していた場合は、日曜日の出勤が週1回の『法定休日出勤』となり、休日割増賃金(35%増)の支払義務が発生します。

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